油圧の基礎 減圧弁の仕組み・構造

油圧

圧力制御弁の種類について記事にしました(記事はこちら)その中で、今回は減圧弁について記載します。

減圧弁

減圧弁とはその名の通り、圧力を減らします。結果として圧力を減らすだけであればリリーフ弁と同じように感じますが、実際には大きく違います。

用途

  • アクチュエータの減圧

特徴

  • 2次側の圧力のみ変更可
  • ドレインポートを意識すること
  • ベントポートを制御することで、外部からの操作が可能
  • チェック弁無しとチェック弁付きがある

リリーフ弁が往なすイメージとしら、減圧弁は「設定以上の圧力になったら、油を止める」イメージです。(厳密には油を少しずつ漏らしながら止める)

リリーフ弁も同じ設定圧力にするという意味では同じように見えますが、リリーフ弁のように余分な油全部をタンクポートに返すわけではなく、「これ以上来ないでね」と止めてしまう点で違いがあります。またリリーフ弁は1次側の圧を制御するのに対し、減圧弁は2次側の圧力を制御します。

構造

リリーフ弁の時と同様に、パイロット部と主弁部に分かれます。パイロット部の説明についてはリリーフ弁の説明の記事をご確認ください。(リリーフ弁の記事はこちら

一次側から油が入り、二次側へと出ていきます。この時の二次側の圧力を減圧することが出来ます。その他のポートとしてドレインポート・リモートコントロールポートがあります。

ドレインポートは減圧時に発生する余剰油を逃がすポートです。リモートコントロールポートは外部で減圧弁の圧力を制御したい場合に使用します。リリーフ弁と同じくベントポートと呼ぶ場合もあります。

低圧状態

一次側も二次側も低圧状態では、減圧弁の主弁部は開いており油は抵抗なく流れます。

圧力が高くなってくると

全体的に圧力があがり、リリーフ弁部のポペット部に力がかかり、ポペットを押そうとします。図ではまだポペットは開いていません。

ポペットが開いた状態

圧力が上がりポペットが開きます。それによりリリーフ弁部と主弁の圧力が低下します。主弁内部のチョークを通り油が流れますが、細い為油の流入が間に合わず主弁の上下面で圧力差が発生します。

差圧により主弁が動作

差圧により主弁が動作し、二次側の開口部が狭まります。油の流入量が減り二次側が減圧できる仕組みです。減圧後も主弁は閉じ切らず油を供給し続けますが、その余剰分をポペットから微小(1~1.5L/min程度)の油が流出し続け圧力を一定に保ちます。

減圧弁の注意点

注意点①

減圧弁ではドレインポートを意識する必要があります。減圧弁は一次側と二次側以外にドレインポートが設けられています。主弁を動かすためのパイロット部(直動型リリーフ弁)のドレインを逃がすためのポートです。積層型の場合、ドレインポートは外部ドレインと内部ドレインを選択できることが多いです。外部ドレインの場合は一次側と二次側以外にドレインの配管が必要になりますので注意が必要です。

内部ドレインの場合は配管は不要ですが、何らからの理由でタンク側に圧が負荷されると正常な減圧ができなくなります。積層型でタンクポートに内部ドレインしている場合に、他のシリンダーが動作し背圧が発生した場合などで発生します。

注意点②

積層型の場合などでP減圧 A減圧 B減圧を選択できます。シリンダーの場合で説明すると

  • P減圧:両方の動作を減圧する
  • A減圧:押し側の動作を減圧する
  • B減圧:引き側の動作を減圧する

となります。注意点としてA減圧やB減圧を使用し、なおかつパイロットチェック弁を使用する場合は減圧とメイン側の圧力のバランスによりチェック弁が開かない場合があります。この場合、解決方法としては減圧を少し緩め、圧力をあげる。デコンプタイプのパイロットチェック弁を使用する。があります。(詳細はこちら)

減圧力を遠隔操作する場合

減圧弁にて減圧する圧力を遠隔で設定したい場合リモートコントロールポート(ベントポート)を使用します。リリーフ弁のベントポートと同一で、パイロット部に使用する直動型リリーフ弁と外部を接続することで圧力を遠隔で制御することが出来ます。このベントポートの先に比例式リリーフ弁を使用することで、電気信号で減圧量を任意に変更できます。

チェック弁付きとチェック弁なし

減圧弁にはチェック弁付きとチェック弁無しが存在します。

チェック弁付きの特徴は「一次→二次の方向だけではなく、反対にも油を通すことが可能」であることです。流れの方向と圧力については下記です。

  • 一次→二次:減圧を行い油を通す。
  • 二次→一次:自由流れで油を通す。

内部のチェック弁を通ることで、逆流時の自由流れが可能になっています。用途はインラインでシリンダーに接続する場合に使用します。インラインの場合、出側の流れだけでなく、戻り側の流れも発生する為です。

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