設計に配属され、回路図を先輩に依頼されたとき
「このシリンダーはスリーポジで、こっちのシリンダーはツーポジのダブルで描いといて」と言われました。最初は本当に意味が分からなくて「おぉ・・・なんか呪文を唱えられたぞ。炎が飛んでくるのか?氷が飛んでくるのか?」と思ったりした記憶があります。
先輩のセリフにあるポジション数やダブルについて簡単に説明すると
- ポジション数はスプールの切り替わる位置の数(部屋の数)
- シングルorダブル=コイルの数
を表します。今回はそんな油圧バルブ(電磁弁)のポジションとコイルの数の種類について記載します。
ポジション数とは
油圧バルブ(電磁弁)の種類とポート数について | 技術者のたまり場
にて、スプールのお話をさせて頂きました。その中で「スプールは図面上では部屋で表します」と記載があります。ポジション数とはその部屋の数を言います。
例えば、「5ポートの2ポジションのバルブ」と「5ポートの3ポジションのバルブ」を絵で表記すると以下のようになります。

2ポジションを使用しシリンダーを動作する場合は「出」と「戻り」のみですが、3ポジションの場合は何やら真ん中に部屋がありますね。この絵の場合の真ん中の部屋の種類は「センターエキゾースト」と言われ、AもBもタンクに返す。という動作になります。この真ん中の部屋の回路が変わることで名称や動作が変わりますが、そのあたりに関しては別の記事にしようと思います。
とりあえず今回は、「部屋の数=ポジション数」「3ポジションの真ん中の部屋は色々選べる」ということを覚えましょう。
コイル数とは
コイル数とは電磁弁に使用されているコイルの数を言います。
図面の例として、5ポートの2ポジションシングルと5ポートの2ポジションダブルを記載します。

今までの2ポジションの絵に対し、部屋の外側に何か付いたのが分かると思います。

ここがコイルになります。コイルが1個だから「シングル」。コイルが2個だから「ダブル」です。しかしシングルの反対にも何やら取りついていますね。これは「スプリング」です。コイルとは違い、常時押し込もうという力が働いています。

全体の動きとしては、コイルが励磁(通電)するとスプリング側にスプールを押し込み、コイルが励磁をやめるとスプリングの力でコイル側に戻します。

コイルの種類
先ほど「コイルに励磁するとスプールを押し込む」と記載しました。しかし現実には他にも種類があるため注意が必要です。ほかの種類は下記があります。
- 押し込み型
- 引き込み型
- 比例型(引き込み・押し込み)
図で表すと

になります。覚え方は上からボールが当たった時、スプールがどっちに動くかで覚えるとわかりやすいです。比例とは外部からの信号により無段階に変更できることを指します。油圧回路内で矢印があると「可変」できる。つまり調整できますよーという意味になります。つまり図中の比例の絵は「開き量を調整できる押し込み型の比例弁」となります。
あとがき
コイルの形状って他にも種類があるので最初は覚えにくく、今までの図面のコピペでやってしまいがちです。しかし、しっかり意味を理解して書いていると、型式を見ずともどんなバルブなのか情報を吸い上げることができます。先人たちが考えてきた事を、しっかり守り、時には打ち破り、普段の設計に活かして行きたいと思います。
図面での記号についてはどこかでまとめて書こうと思います。よろしくお願いいたします。
コメント