パワーロック(摩擦式締結具)とは

機械要素部品

機械設計や設備設計に携わっていると「パワーロック」という名前を耳にすることがあります。
ただし、パワーロックは正式な機械要素名ではなく、実は椿本チエインの商品名です。
本記事では「パワーロック=摩擦式締結具(キーレスブッシング)」として、その仕組みや種類、選定時の注意点を解説します。

パワーロックとは

そもそもパワーロックとは、椿本チェインの商品名です。

本来の機械要素の名称は「摩擦式締結具」また「キーレスブッシング」と言われます。

キーレスブッシングを製造販売しているメーカーは数多くあります。代表的なメーカーと商品名のラインナップは以下の通りです。

  • 椿本チェイン (パワーロック)
  • アイセル   (メカロック)
  • 三木プーリ  (ポジロック)
  • 片山チエイン (カナロック)
  • 産機     (クランプエレメント)

この中でも最も種類が豊富なのは椿本チエインのパワーロックです。

キーレスブッシングを使用するメリット

  • キー溝の加工が不要:軸やボスにキー溝を掘る必要がなく、加工工数が削減。キー溝による軸の強度不足がおきない。
  • ガタがない:バックラッシがなく、ガタ抜き不要
  • 高いトルク伝達能力:くさびによる摩擦締結のため弱い力で強力なトルクを伝達可能
  • 取り付け取り外しが容易:ボルトの脱着のみ
  • 偏心が少ない:芯ずれが起きにくい
  • 耐環境仕様のラインナップもあり:防錆タイプなどラインナップが豊富

これらの理由により、幅広い分野で使用されます。

キーレスブッシングの種類

  • シングルテーパータイプ
  • ダブルテーパータイプ
  • ハイドロタイプ

があります。

シングルテーパータイプ
 内部に1か所のテーパー部を持つ。ボスが軸方向に移動する場合があるが、センタリング機能を有するものが多い。

ダブルテーパータイプ
 内部に2か所のテーパー部を持つ。ボスの移動は発生しないが、センタリング機能を持たないものが多い。

ハイドロタイプ
 内部の油圧で締結。ボルト1本で締結でき、同芯度は高い。ただし能力はやや劣り、温度変化の影響を受けやすく、価格も高価。

キーレスブッシング選定のポイント

  • 耐環境性能が必要か?(防錆・ステンレス仕様など)
  • 必要トルクを満たしているか?(安全率を考慮する)
  • センタリング機能は必要か?
  • ボスの強度に問題はないか?(加圧で割れないか)
  • ボスの移動が発生するタイプか?

※メーカーのカタログには「同芯度が0.05mm以下ならセンタリング機能あり」といった基準や、ボス材質に応じた強度表が掲載されています。必ず参照しましょう。

キーレスブッシング使用時の注意点

  • モーメントの負荷はNG
  • 組付け時、ボルトの取り付け順番に法則がある(対角線締めなど)
  • 組付け時、油の塗布が必要である
  • キー溝加工している軸に使用できるが、許容トルクが下がる
  • ボルトは専用ボルトの場合が多い

特に忘れがちなのは、組付け時の油の塗布だと思います。キーレスブッシングは摩擦締結なので皆「油は塗布しちゃイカン」と思っていますが、カタログの許容トルクを得るには油の塗布が必要です。逆に防錆タイプには塗布不可の場合がありますので注意してください。

また加圧するボルトは専用ボルトです。締め付けトルクを見ると12.9区分のCAPボルトをも超える締め付けトルクの場合があるので通常より強いボルトを使用していると思います。

まとめ

  • パワーロックは椿本チエインの商品名で、機械要素としては摩擦式締結具(キーレスブッシング)。
  • 各社から多様な製品が出ており、特徴や呼び名は異なる。
  • キー加工不要・ガタなし・高トルク伝達・取り付け容易といったメリットがある。
  • 選定時はトルク、耐環境性、センタリング機能、ボス強度などを必ず確認。
  • 使用時には油の塗布やボルトの管理など、カタログに記載された注意点を守ることが重要。

摩擦式締結具は、従来のキーやスプラインに代わる選択肢として広く使われています。正しく理解し、用途に合わせて最適なものを選びましょう。

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