鋼を作るのに重要な5つの元素とは

材料

別記事で紹介させて頂いた、SS400とS45Cで出てきた炭素鋼5元素について紹介させていただきます。正直、機械設計をしていて5元素を意識して設計したことはありませんが、炭素鋼を紹介させていただく上で必要と思ったため、紹介させていただきます。

炭素鋼5元素

  • C 炭素        強度
  • Si ケイ素       脱酸 降伏点
  • Mn マンガン      靭性
  • P  リン 有害成分  伸びと靭性を低下
  • S  硫黄 有害成分  980度以上で強度を下げる 含有量をあげることで快削材になる

SS400ではPリンとS硫黄の量が規定されている。S45Cでは5元素全部が規定されている。

それぞれの元素は特性があり成分の量にて鋼の性質も変わってくる。以下に各元素の紹介をさせていただきますので興味のある項目をご確認ください。

C 炭素

鉄鋼において一番重要な元素。炭素の量によって鉄鋼の方向性を決めているといっても過言ではないと思います。

炭素の働き

  • 引っ張り強度の決定
  • 靭性の決定
  • 焼き入れには炭素が不可欠

 です。実際は量が増えすぎた場合の特性であったりと、この記事で全部書いてしまうと膨大な量になるので簡単に紹介させていただきます。

Si ケイ素

ケイ素の働き

  • 脱酸作用
  • 弾性の向上
  • 引張り強さ向上

鋼の機械的性質を改善する良い元素。入れすぎると脆化する場合がある。

Mn マンガン

マンガンの働き

  • 引っ張り強さの向上
  • 靭性の向上

鋼の機械的性質を改善する良い元素。Cの量を減らしMnを高くすることで引っ張り強度を下げないまま靭性を向上させることができる。

1.5%以上になると伸びが減少する。

後述のS硫黄と強く結びつくため、Sが引き起こす赤熱脆性の対策として役立つ。

P  リン

鋼に有害な元素。基本的には含有量を下げたい。

  • 伸びと靭性を減少させる
  • 耐食性と耐候性を高める

改善側に働くケースもあるが、基本的には含有することを避ける元素。

S  硫黄

鋼に有害な元素。基本的には含有量を下げたい。

  • 赤熱脆性の原因となる(988度以上で強度が落ちる)
  • 逆に含有量を増やすことで快削材とすることもできる

改善側に働くケースもあるが、基本的には含有することを避ける元素。

まとめ

特殊な環境下での設備設計をする場合は必要な知識だと思いますが、自分が設計してきた一般的な機械設備では5元素まで見て材料を選定することはありませんでした。

何か問題が起きたときに参考とするために知識として覚えておく必要はあると思います。

もし、「こういった用途で必要だった」などご指摘ご意見ありましたら、ご連絡いただけますと幸いです。

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