kg(重さ)とN(力)の違い、中学生の子供に説明できるか?設計者が本気で噛み砕いてみた

物理

ある日、入社したての文系大学卒業の後輩から、こんな質問をされました。

「kgとNの違いって、何なんすか?」

内心では「まずは目上への口の効き方からだな」と思いつつも、業務上必要な内容なので説明することにしました。

「kgは重さ、Nは力。
kgに9.8を掛けるとNになる。
なぜ9.8かというと、地球には重力加速度があって――。」

と、いつもの設計者的な説明を始めたのですが、話している途中で気づきました。
あ、これ完全にマニアックなやつだ・・・・と。

案の定、後輩の反応はいまひとつ。
「分かったような、分からないような」表情をしていました。

これは先が長いぞ……。
いや、そもそも新卒が入るたびに、この説明を毎回するのか?
しかも時間をかけて説明して、効果はイマイチ。

教えている相手の問題というより、自分の教え方に問題がある気がしてきました。

そこで考えました。
「自分の子供(中学生)にも分かる説明ができれなけば、本当に理解しているとは言えないんじゃないか?」

そう思い、kg(重さ)とN(力)の違いを、できるだけ噛み砕いて説明する方法を考えてみることにしました。

重さと力は何が違うのか?

重さについて考えてみる。

ここにダンベルがあります。

このダンベルには5kgのプレートが2枚ついています。つまり、このダンベルの重量(重さ)は10kgです。

ここで一つ意識してほしいのは、kgとは「量」を表す単位だということです。

この「量」という考え方が、kgとNを混乱させる一番の原因なので、後ほどもう一度説明します。

力について考えてみる。

次にこのダンベルを持ち上げます。

ダンベルには、黄色の矢印のように常に下向きの力が働いています。

これは「ダンベルが落下しようとする力」であり、言い換えると
地球がダンベルを引っ張っている力です。

一方で、青色は私が落下を防止するために発揮している持ち上げるです。

  • 下向き:地球が引っ張る力
  • 上向き:人が持ち上げる力

この2つの力がつり合っているから、ダンベルはその場で止まっているわけです。

……とはいえ、この時点では
「kgと力の関係」がまだピンと来ないと思います。

では、このダンベルを持ったまま月に移動してみましょう。

月でダンベルを持ち上げるとどうなる?

月にやって来ました。

月の重力は、地球の約1/6です。
ということはどうなるかというと、

  • ダンベルが落下しようとする力も 1/6
  • それを支えるために必要な力も 1/6

になります。だから体が感じる力(重さ)は軽く思うはずです。

しかし、ここで重要なのは、
ダンベルそのものは何も変わっていないという点です。

プレートは5kgが2枚。
つまり、ダンベルの重さ(質量)は月でも10kgのままなのです。

なぜ「質量=量」が分かりにくいのか?

kgとNが分かりにくくなる原因の一つに、
日常会話での言い回しがあります。

例えば、「〇〇kgで押してください」といった表現がありますよね。

これは本来、力(N)で表すべきものをkgで言ってしまっている状態です。
このせいで、
質量(kg)=力
という誤解が生まれやすくなっています。

水で考えると一気に分かりやすくなる

イメージをつかむには、水で考えると分かりやすいです。

  • 地球での 水1L
  • 月での 水1L

これは同じですよね。
場所が変わっても、量は変わっていません

ただし、

  • 地球では重い
  • 月では軽い

これは、持ち上げるのに必要な力が変わるからです。


ダンベルに置き換えるとこうなる

この考え方を、ダンベルに戻してみます。

  • 地球でのダンベル:10kg
  • 月でのダンベル:10kg

量(質量)は同じ

でも、

  • 地球で持ち上げるのに必要な力は重い
  • 月で持ち上げるのに必要な力は軽い

月では1/6になる

つまり、

  • kgは「どれだけあるか(量)」
  • Nは「どれだけの力がかかっているか」

という違いになります。

まとめ

kgは「どれだけあるか」を表す量(質量)
Nは「どれだけの力がかかっているか」を表すです。

ダンベルは地球でも月でも 10kgのまま
量は変わりません。

ただし、月では重力が小さいため、
落下しようとする力も、持ち上げるための力も 1/6 になります。

つまり、

  • kg=量
  • N=力

場所が変わっても量は変わらない。
変わるのは、支えるために必要な力だけ。

以上が、質量と力の関係でした。
次の記事では力と質量を数字で表す、方程式について解説します。
ご興味あれば、見てもらえると嬉しいです。

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